エレアコなどピエゾピックアップで使えるペダル・プリアンプ/エンハンサーまとめ

楽器

 

エレアコにしろソリッドにしろピエゾ・ピックアップしたサウンドに、多機能なアコースティックアンプに直で繋いで音作りができる場合を除いて、プリアンプは必須だと言っていいでしょう。

アンプに繋ぐにしろ、ミキサーに繋ぐにしろ、微弱な信号を安定させ、音質を整えていくプリアンプ/DIがあることで、平坦なサウンドに太さやきらびやかさ、立体感が加わります。

代表的なモデルには、どんなものがあるか?

サウンドにエアー感を与えるエンハンサーとともに価格順に紹介していきます。

 

 

プリアンプ

 

BEHRINGER(ベリンガー)「ADI21 V-Tone Acoustic」

XLR出力

実勢価格:4,500円前後~

他のアイテムと比べていただければ一目瞭然ですが、圧倒的な安さが特徴。

出力の大きさを調整するレベルやブレンド、バンドEQ搭載、チューブ/マイクエミュレーションなどのコントロール、XLRアウト付きでPAへの接続もできますし、この価格で必要な機能を押さえているところは、さすがベリンガーと言っておきます。

 

使えるかどうかは賛否両論ですが、プリアンプを内蔵しているギターを使っていると、それ以上の効果は得られないと見るのが、私も含めた大方の意見です。

つまり、使用状況によって評価が明確に分かれるペダルだと言えるでしょう。

ピックアップから直で出力しているパッシブタイプのピエゾに対しては、必要最低限の効果は得られる優れもの。

プリアンプ付きのエレアコを使っている方には、あまり意味のないもの。

後者の方は、内蔵プリアンプに足りない部分——音の太さが欲しいなら、ZOOM「AC-2」やAnimals Pedal「Firewood Acoustic D.I」など、エアー感が欲しいのなら、TC ELECTRONIC「BodyRez」やBOSS(ボス)「AD-2」などを探したほうが近道です。

 

 

 

ZOOM ( ズーム ) 「AC-2 Acoustic Creator」

XLR出力

実勢価格:19,000円前後~

 

ピックアップを通すことで失われてしまう、アコギの自然なボディ鳴りを再現する「アコースティック・リモデリング」機能を備えたプリアンプです。

使いやすさと音質のバランスでアコギ・プリアンプの定番と言えるペダル。

 

主な機能としては、ブースト(ボリューム)、3バンドのイコライザー、リバーブ、チューナーなどです。

さらに、16種類のソースギター・プリセットを内蔵。

ドレッドノート、ラウンドショルダー、オーケストラ、12弦ギター、ナイロンギター、アップライトベースなど、使用するギターに合わせてプリセット、ピックアップの種類(ピエゾ/マグネティック)を選択できます。

ソリッドギターにピエゾを付けている私には、「Silent」のプリセットが付いていることがうれしいモデルです。

弱点を見つけるなら、パッシブタイプのPUのプリアンプとしては、少し効きが弱いような気がします。

内蔵プリアンプがあるアクティブタイプとの相性のほうがいいでしょう。

 

 

 

FENDER ( フェンダー ) 「Acoustic Preverb」

実勢価格:19,800円

 

PreampとReverbの機能がコンバインされてるので、「Preverb」。

どちらかと言うと、リバーブの質の高さのほうが特徴的で、プリアンプはそれを生かすものという気がします。

なので、内蔵プリアンプを持つアクティブPUからの出力でこそ、威力を発揮しそう。

 

あるルシアーが倍音の豊かさこそがアコースティックの要と言っていましたが、それをリバーブで表現したエフェクターのようにも思えます。

ギターは選びますが、モデリングでアコースティックらしさを出すプリアンプにデジタル臭さが気になる方にとっては、一つの解決策になることは間違いありません。

 

 

 

Animals Pedal(アニマルズペダル)「Firewood Acoustic D.I」

XLR出力 My Select

実勢価格:20,000円前後~

 

ブティック系というにはフレンドリーなブランド、Animals Pedal。

奇をてらいすぎることなく、かゆいところに手が届くプロダクトをリリースしていますが、このプリアンプもその一つ。

 

動画は旧モデルのレビューですが、MK2になりスイッチ構成や位相反転機能などが付き、デザインも一新されました(値段も上がりましたが)。

かわいらしいデザインとは裏腹、ピエゾやマグネットなどのPUセレクトやモジュレーションなしで、あくまでアナログ回路で自然なアコースティックサウンドを目指すという質実剛健さも垣間見えます。

自分が選んだ理由としては、エフェクターのセンド・リターンが付いていることですね。

お気に入りのエフェクターでサウンドメイクした音を、DIを通してアウトプットできるモデルは、この価格帯ではほかにはありませんから。

エフェクターを使わない方は、チューナーアウトとしても使えます。

 

 

 

ORANGE(オレンジ)「Acoustic Pedal」

実勢価格:25,000円前後~

 

Made In UKのオレンジアンプと言えば、オルタナティブロックのプレイヤーたちに愛されているイメージが強いですが、アコースティックのプリアンプにも定評があります。

アンプでは「Crush Acoustic 30」、高級プリアンプでは「Acoustic Pre TC」という銘機がリリースされていましたが、それらのノウハウをつぎ込み、アマチュアでも手の届く価格帯でリリースされたのが「Acoustic Pedal」です。

 

アンプメーカーらしく、モデリングではなく、回路などの設計によってアコースティック本来のサウンドを表現しようという方向性。

エフェクターのセンドリターンが装備が装備されているところも、ポイント高いです。

エレキと兼用しエフェクターに慣れているプレイヤーの視点をわかっているな、と。

 

念のため、高級モデルの「ORANGE Acoustic Pre TC」も紹介しておきます。

 

実勢価格:176,000円

 

 

 

裏技:プリアンプ代わりに使えるエフェクター

ピエゾ・ピックアップの出力レベルを安定させるだけなら、理屈としては、レベルのツマミが付いているエフェクターであれば、代用できるはずです。

さすがに歪み系は使いにくいと思いますが、クリーンブースターやコンプレッサーなどで使えるものもあるでしょう。

私が使っているのは、これ。

 

Mooer(ムーア―)「Tone Cpture GTR」

My Select

実勢価格:12,000円前後~

 

手持ちのギターで別のギターサウンドを出せるようにするペダル。

シングルコイルでハムバッカーのサウンドを出したり、ソリッドボディでホロウボディのトーンを作ったり、アコースティックギターのトーンをキャプチャーしたりできます。

 

「Tone Capture GTR」には、3バンドのイコライザーとミッドシフトのツマミがあって、イコライザー替わりにも使えます。

この使い方はメーカーも推奨しているのですが、そう、レベルのノブも搭載されているので、プリアンプ的にも使えます。

さらに、ほかのギターのトーンをキャプチャーするという本来の機能を使って、ギブソンやマーチン、テイラーなどを取り込めば、モデリング的な楽しみ方も可能です。

 

 

 

 

エフェクター:エンハンサー

プリアンプに内包されることもありますが、アコースティックギター本来のエアー感を再現する効果に特化したエフェクターを2つご紹介します。

エレアコ内蔵のプリアンプ経由でアンプなどに使うと平坦なサウンドになってしまう場合などに、効果があるタイプのペダルです。

 

TC ELECTRONIC ( ティーシーエレクトロニック )「BodyRez」

My Select

実勢価格:19,000円前後~

 

ボディやアンプのリモデリングではなく、エアー感(箱鳴り感)と音の芯を加えることで、ナチュラルなアコースティックサウンドに近づけるエンハンサーの走りとなったTC ELECTRONICの「BodyRez」。

また、フィードバック除去の回路も搭載しています。

 

ノブは1つのみ。

その唯一のノブで、内部のコンプレッションとフィルター群を調整しているとのこと。

うまくハマれば、ピックアップの音に豊かで懐の深い趣きを与えますが、条件によっては効果が感じられないケースもあるようです。

プリアンプなどと併用する場合、モデリングなどでいじりすぎず、できるだけシンプルに音作りしたのちに、この「Bodyrez」を通したほうが良い結果になるようです。

 

 

 

BOSS(ボス)「AD-2」

実勢価格:14,000円前後~

商品名に「プリアンプ」とありますが、音量を調節するレベルや、音域のブースト/カットできるイコライザーがないので、エフェクターだと捉えたほうが間違えがないと思います。

 

じゃ、何ができるかと言うと、アンビエンス、ノッチ、アコースティックレゾナンスというコントロールで、ボディの鳴りと、演奏する空間の響きを補うペダルです。

最近のエレアコであれば、プリアンプを内蔵しているモデルが多いので、機能がカブっても仕方がないと思えば、

XLR端子は付いていませんが、バランスアウトには対応。

ステレオプラグ→XLRプラグのケーブルで、ミキサーなどに接続できます。

 

 

 

 

マルチ・プリアンプ/エフェクター

 

ZOOM「AC-3」

実勢価格:29,000円前後~

 

先に紹介した「AC-2」に、コンプレッサー、コーラス、ディレイ、リバーブ、トレモロなど9種類の空間系のエフェクトも付いたマルチ。

モデリングはソースだけでなく、ターゲットも設定できるので、より幅広い音作りができます。

 

 

 

BOSS(ボス)「AD-10 Acoustic Preamp」

実勢価格:38,500円~

 

BOSSらしい至れり尽くせり感が特徴な2チャンネル・アコースティック・プリアンプ/DI。

 

エフェクトは、Roland独自の先進技術「MDP」によるコンプレッサー、ディレイやコーラス、アンビエンスなどの専用エフェクトからルーパーまでを搭載しているほか、イコライジングも5バンド。

USBアウトもあり、オーディオインターフェイスとしても使えます。

 

 

 

FISHMAN(フィッシュマン)「ToneDEQ Preamp EQ」

実勢価格:45,000円前後~

 

ピックアップからアンプまで、多くのミュージシャンのアコースティックサウンドを支えてきたメーカー、FISHMAN。

プリアンプでは、AURAシリーズが有名ですが、新しいラインとして生まれたモデルです。

 

高品質のプリアンプ、デュアルエフェクト セクション、トーンコントロール、コンプレッサー、レベル ブースター、バランス DI など、必要なものがすべて 1 つのボックスに収められています。

暖かみよりクリアさが強調されたのが特徴ですが、サウンドのクオリティはさすが。

 

 

 

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森 薫

雑誌編集者、webコンテンツディレクターを経て独立。コロナ禍を機に半農半X生活へ移行、「X」は表向きライター業、実際は単なる車中泊トラベラー?!

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