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夏も終わった10月初旬。
一般的な笠新道を使わず、コンディションによっては難関となるクリヤ谷から登り、遠回りして鏡平経由で新穂高に降りていきます。
登り始めはガスっていましたが、その後は絶景に恵まれた1泊2日の行程を振り返ります。
笠ヶ岳へ
「この夏」というには、もう遅すぎるかもしれない10月頭。
奥飛騨から登る北アルプスとしては、躊躇していた笠ヶ岳を目指すことにしました。
なぜ躊躇していたかというと、ワサビ平近くを通ったときに、「笠ヶ岳新道」を眺めたとき、その登りのきつさにビビッてしまったからです。
かと言って、反対側から登る「クリヤ谷ルート」も、かなりキツいルートだということは有名な話。
一番楽に登れるのは、まず双六岳に登り、弓折岳、抜戸岳を経由した稜線伝いで行くルートなのですが、時間はかかります。
鏡平なり双六なりで1泊しなければならないので、笠ヶ岳山荘での1泊と合わせると2泊3日か。
それは無理です。
というわけで、なかばやけくそな気分で、クリヤ谷ルートで登ることにしたんです。
1日目:クリヤ谷~
クリヤ谷ルートの入り口、槍見登山口へ
公共交通機関の場合は、高山か平湯バスターミナルから、新穂高行きの濃飛バスで「中尾高原口」下車。
平湯からは、日中はだいたい1時間に1本バスが出ています。
「中尾高原口」からは進行方向を戻る方向で橋を渡り、トンネル前で右へ。
数々の登山家に愛された温泉旅館「槍見館」の裏側に登山口があります。
車の場合は、新穂高温泉・中尾高原口の公衆トイレが完備した駐車場(約40台)に車を停めることができます。
そのまま戻ってくる場合はいいですが、笠新道で降りてくる場合は、
出発
天気予報では、晴れが2日続く日を狙って休みをとったものの、槍見の登山口を出発したときには曇り。
穴滝の沢
さて、このクリヤ谷ルートが面倒なのは、登山口から1時間あたりの穴滝の沢です。
橋が架かっていないんです、ここ。
雨の日の後は、腰辺りまで水に浸からないと渡れなくなるので、その一点だけでも、ルートとして避けて通る方も多いでしょう。
この日の前日に雨は降っていなかったので、水量はさほどではなかったのですが、それでもくるぶしくらいまでは濡れてしまいます。
このルート、人気がない割には、見所は結構あります。
沢に沿って登っていくので、ところどころに小さな滝などもある。
この日は霞んでダメでしたが、晴れていれば、錫杖を間近に見ることもできます。
季節柄、色づく紅葉もきれいです。
錫杖沢
水場
雲行きが変わってきたのは、錫杖沢出合を過ぎた頃。
雨脚が若干強まり、かなり冷える。
と、思ったら、空からヒョウが降ってきます。
これ、樹氷?
クリヤの頭
クリヤの頭もガスッたまま。
ところが、クリヤの頭の裏に回ると、晴れ間が広がってきた。
錫杖の辺りも、東側は曇っていて、西側はその雲が切れていた。
クリヤ谷を越えると、稜線の西側にトレイルが続く。
遠く、高山の町並みも見下ろせる。
ところどころに、東側、つまり穂高などを見渡せる場所もあるのだけど、穂高側はガスッたまま。
いつもとは裏側から見た笠ヶ岳さて、クリヤの頭を抜け、30分ほど歩き、トレイルを振り返ってみた。
いつも見ていた奥飛騨側からではなく、反対側からみると見慣れた山並みも新鮮に映る。
笠ヶ岳山頂まで、あと1時間を切ったところで、ふたたび、雲が出てきて冷え込んできた。
山頂に着いた頃に、一息ついて、温度を確認すると、午後2時だというのに、気温は氷点下2度!
寒い!
珍しく、ちょっとした頭痛や息切れを感じていて、標高差約1900mを上がってきた気圧差が原因だと思っていたのだけど、むしろ気温差のでせいだったのかも。
笠ヶ岳山荘にチェックインした後も、天候が悪かったので、布団の中で暖を取ることに専念。
少し昼寝をして夕方になると、雲も少し取れてきました。
さきっちょだけ槍ヶ岳が見える。
2日目
朝5時過ぎ。
夕食は自炊したのですが、朝食は頼んでいたので、日の出前に起き出します。
食べ終わった後、表に出てみると、うっすら空が明るくなっていました。
きれい。
でも、寒い。
温度計を見ると、氷点下8度!
その気温に耐えられる服は持ってきていなかったのだけど、あまりに空がクリアなので、温かいコーヒーと寝袋で暖を取りながら、東の空を眺め続けてみます。
まだ、陽は昇っていないけれども、振り返ってみれば、笠ヶ岳山頂には、陽が当たってきました。
日の出はちょうど大キレットから!
笠新道か、鏡平経由か、ルートの迷う
笠ヶ岳小屋からの夜明けの景色があまりにも素晴らしかったので、名残惜しいけれども、そろそろ出発の時間。
とともに、筋肉系・心肺系は順調だったけど、膝に少し違和感。
さすがにクリヤ谷ルートはキツかったということでしょうか。
下りのルートは、笠新道を想定していたのですが、あの急勾配を降りるのは膝に負担がかかりそうだし、かといって弓折乗越経由だと、時間がどれくらいかかるか見えません。
とにかく新穂高まで降りるには、どちらかのルートしかないので、笠新道の分岐まで1時間ほど歩き、体調を見ながらルートを決めることにしました。
30分ほど歩き、抜戸岩のあたりで今来た道を振り返ってみると、日が昇ってきて、笠ヶ岳山頂の姿も違って見えます。
北側を見ると、剣岳まで見通せます。
やはり寒かったのか、雪が積もっているようです。
笠新道分岐
さらに、15分ほど進み、新道への分岐の直前から乗鞍方面を見ると、今日は非常にヌケがいい。
乗鞍の右には、御岳が見えるし、正面の一番奥は木曽駒でしょうか。
というわけで、抜戸山を目前に笠新道との分岐に至ります。
身体が温まってきて、平地では足は動くようになった気もするけど、下りに関しては、ひざに軽い痛みが走り、踏ん張りが今一つ。
判断として正しいのかどうかはわからないけれども、高低差のない方がいいような気がして、分岐を入らず、そのまま大ノマ岳を目指すことにしました。
大ノマ乗越/抜戸岳
高低差のないトレイルを選んだつもりだったのだけど、思っていた以上に、大ノマ岳に至るアップ・ダウンはきつかったので、大ノマ乗越で一休み。
先に抜戸岳も見えてきたのだけど、それなりの登りのようだ。
この山、何だったっけ?
双六岳を右側に見ているということは、黒部五郎岳か。
何とか、抜戸岳も越え、一息ついて、槍ヶ岳などを眺めてみます。
千丈乗越/抜戸乗越
それにしても、空には雲一つない好天。
千丈乗越あたりで、青空を撮ってみても、こんな感じ。
抜戸乗越で折り返し、鏡平に下っていきます。
鏡平
遠回りして鏡平経由にしたのは、やはりこの景色を眺めたかったからです。
何度来ても、いいものです。
風が止まず、ぴたっと「鏡」にはならなかったけど、絵はがき的な見方からすれば、十分なコンディションです。
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